アメリカ陸兵器 |

M60 【ベースライセンス】
M60はアメリカがソビエト連邦の新型戦車T-54に対抗する為に開発した戦車である。 M48の改良型で、車体形状は一新されてディーゼルエンジンを搭載し、砲塔はM48とほぼ同じ形状だが105mm砲を搭載し、機械的信頼性が非常に高い。M60は1960年に配備が開始されたが、1962年にはより装甲が厚く、避弾経始の優れた新型の砲塔を搭載したM60A1が制式化された。最終型のM60A3はレーザー測遠機などを組み合わせた新型FCSとパッシブ式の暗視装置を導入し、攻撃能力を飛躍的に向上させている。M60はシリーズ合計で約15000両が生産され、アメリカ陸軍・海兵隊に採用されたほか多数の国に輸出された。現在ではアメリカ軍からは全車が退役しているが、輸出先では独自の改修を受けた車体も多くあり、多数が今も使用されている。

M1エイブラムス 【M60→M1】
コストなどの関係で西ドイツとの共同開発を断念したMBT-70に換わる主力戦車として開発されたのがアメリカのM1 エイブラムスである。 初期型の主砲は105mm砲だが、進化した射撃統制装置と劣化ウラン弾芯を使用したAPFSDSによって攻撃力を高めている。車体と砲塔の主要部には複合装甲を装着し、砲塔後部の弾庫には被弾時に爆圧を上に逃がすブロウ・オフ・パネルが取り付けられ安全性を高めている。M60より重量が増加したが、1500馬力のガスタービンエンジンにより走・攻・防のバランスを高い位置に保っている。1980年から配備を開始し、主砲を120mm滑腔砲に変更するなど改良を加えながら8000両以上が生産された。現在ではデータリンク機能を備えたM1A2が主力となっている。

M1A1エイブラムス 【M60→M1→M1A1】
120mm滑腔砲を搭載したM1エイブラムスの改修型である。 ラインメタル製の120mm滑腔砲を原型としたM256を搭載し、砲塔の装甲強化や新型NBC防護装置の採用などが行なわれた。1984年に制式化、1986年には引渡しが開始されたが、1988年には劣化ウラン合金を複合装甲に用いたM1A1HAが登場している。湾岸戦争ではM1A1を急遽M1A1HAに改修し、T-72等のロシア製戦車を圧倒した。1991年までにアメリカ軍向けに4,796両が作られたほか、エジプトではノックダウン生産も含め880両を導入し、現在追加分を発注している。またオーストラリアもアメリカ軍の中古の車両にデジタル化改修を施したM1A1AIMを59両購入、2007年から配備している。

M1A2エイブラムス 【M60→M1→M1A1→M1A2】
現在アメリカが装備している最新型戦車である。 砲塔、車体正面の主要部に劣化ウラン装甲を用いたM1A1の後期型をベースに、搭載する電子機材をデータ・バスによって統合、また車両間情報システムや位置評定システム等を備え、各種の情報を共有する事で部隊を超えたレベルで戦闘効率を向上させている。砲塔上面には新たに独立した車長用熱線映像サイトが設けられ、車長が砲手と異なる目標を補足し、緊急時には攻撃を行う事も可能である。価格が高いため新規の調達は77両にとどまったが、既存のM1やM1A1からの改造を含めて現在までに合計1500両以上が配備された。またサウジアラビアとクウェートに輸出された。

ホーク 【ベースライセンス】
ホークはアメリカが開発し、西側各国で配備された地対空ミサイルである。主に低空から侵入する敵機を目標とするもので、小型、軽量で扱いやすいため改良を受けながら長く現役に留まっている。

ホーク改 【ホーク→ホーク改】
1954年にアメリカで開発されたホーク対空ミサイルは西側各国で広く使用された地対空ミサイルである。 1963年には射程の延長や信頼性の向上などを図る研究が始められ、1972年に改良型ホークがヨーロッパ駐留のアメリカ軍に配備が開始された。ホークを採用した国々も改良型を採用している。日本でも1977年から改良型への置き換えが始まり、1987年からは独自に改良を行った改善I型が登場した。以後ECCM能力と信頼性の向上を果たした改善II型、射撃装置を集約し中隊指揮装置とした改善III型が作られている。

チャパラル 【ホーク→チャパラル】
M113兵員輸送車の車体に、地上発射用に改造したサイドワインダーAAMを搭載した対空車両である。アメリカ軍向けに5323両、輸出向けに197両が生産された。

アベンジャー 【ホーク→チャパラル→アベンジャー】
汎用高機動車両M998 HMMWVに、スティンガー対空ミサイルの発射装置を搭載したアメリカの簡易対空ミサイル・システムである。野戦防空に使用されるほか、軽量なため空挺部隊などにも使用される。1980年代末にアメリカ陸軍と海兵隊に採用された。

M109 【ベースライセンス】
M109 155mm自走榴弾砲は1960年代に生産が開始されたアメリカ陸軍の戦後第2世代自走砲である。 105mm榴弾砲を装備するM108と平行して開発され、同じ車体と完全旋回砲塔を用いているが、M108は威力不足ですぐに生産が停止された。M109は多数の改良型が作られ、輸出も広く行われた。現在も多数が使用中である。

M110 【M109→M110】
空輸を前提に設計された小型の車体に大口径の榴弾砲を搭載した自走砲である。 車体の走行装置にはM113のパーツを使用し、エンジンはM109自走榴弾砲と同じものを使って価格を抑えてある。砲は車体上にそのまま搭載してあり、反動は後部の駐鋤を用いて受け止める。車体が小さいため予備の弾薬や射撃要員をほとんど載せることが出来ず、弾薬輸送車両の随伴が必要である。 1961年にアメリカ陸軍に制式採用され、西側諸国に輸出も行われた。現在ではアメリカ軍からは姿を消したが、陸上自衛隊などではまだ使用されている。

M109A6パラディン 【M109→M109A6パラディン】
M109A6は西側を代表するアメリカの自走砲M109シリーズの最新型である。 旧式化しつつあるM109の寿命を延長して性能を向上させるために、エンジンやサスペンションを強化したM109の車体に新型の砲塔を搭載した。39口径の155mm砲はロケットアシスト弾を用いて最大射程30kmとなり、半自動装填装置により射撃速度も向上している。砲塔の装甲は強化され、後部に弾薬庫を設けて砲弾の搭載数が増えている。また射撃統制装置もGPS等を組み合わせた新型になるなど全体的に大きく性能が向上した。 1992年に最初の生産車が完成し、1999年からアメリカ軍に配備されている。

MLRS 【M109→M110→MLRS】
数で優勢な旧東側諸国の地上部隊に対抗するためにアメリカとNATO諸国が共同で開発した、強力な多連装ロケットシステムである。多数の子弾を収納するロケット弾を6発のコンテナに収め、これを車体後部のランチャーに2基収める。射撃後はコンテナごと再装填を行うので、短時間で再発射が可能である。1982年から配備が始められ、湾岸戦争などでその威力を発揮した。

HIMARS 【M109→M110→MLRS→HIMARS】
HIMARSはアメリカが開発した多連装ロケットシステムで、空挺部隊などの緊急展開部隊で使用するためにMLRSを小型化したものである。トラックの車体にランチャーを搭載することでC-130輸送機での運搬が可能になった。MLRSと同じ弾薬を使用するが搭載するコンテナは1基となる。アメリカの他にシンガポールとヨルダン、UAEが採用し、カナダも購入を予定している。

ATACMS 【M109→M110→MLRS→ATACMS】
ATACMSはアメリカが開発した対地ミサイルである。 ATACMSはMLRSのランチャーに装填され、弾体はMLRSのロケット弾コンテナと同じ外観に偽装したコンテナに1発ずつ収納してある。MLRSより大きな弾体は射程と搭載量が共に増え、Block1は950発の子弾を搭載し射程は165kmである。また1992年に開発されたBlock1Aは子弾を275発に減らして軽量化し、射程は300kmに達した。Block1は1991年に生産を開始して湾岸戦争に投入された。韓国陸軍にも21世紀初頭に配備されている。

ペトリオット 【M109→M110→MLRS→ペトリオット】
アメリカ製の対空ミサイルで、 湾岸戦争時にイラクが発射したスカッドミサイルを迎撃して有名になった。 日本では航空自衛隊がナイキに代わる防空用として導入している。最新型のPAC3は弾道弾の迎撃能力を強化したもので、2009年4月の北朝鮮のロケット打ち上げの際に各地に出動した。

M113 【ベースライセンス】
M113はアメリカが第二次世界大戦後に開発を続けていた装軌式装甲兵員輸送車の完成形である。 車体はアルミ合金製で軽く作られ、浮航性能を持つ。シンプルな構造で生産性が高く、1959年に制式化されて大量に生産され、実戦で使用された。初期にはガソリンエンジンを搭載していたがすぐにディーゼルエンジン搭載のA1が開発され、その後燃料タンクを車外に移して車内容積を増やしたA2、装甲強化や各部の近代化を行ったA3が開発された。広く輸出も行われ、シリーズ合計で80000両以上が生産された。現在でも各種の改良型が開発されている。

M2ブラッドリー 【M113→M2】
ソビエト連邦のBMP-1/2に対抗してアメリカが開発した歩兵戦闘車である。 同じ車体を利用してM2歩兵戦闘車とM3騎兵戦闘車が作られ、M2は3名の乗員の他に歩兵6人を収容する。25mm機関砲と砲塔側面に対戦車ミサイルTOWのランチャーを備え、敵戦車の攻撃にもある程度対抗できる。6700両以上が製造された。装甲の強化などさまざまな改修を加えながら今後も使いつづけられるだろう。

AAV-7A1 【M113→AAV-7A1】
アメリカ海兵隊が使用している水陸両用装甲兵員輸送車である。 LVTP7の改修型で、エンジンの換装や各部の強化により、性能向上と寿命延長がおこなわれている。1985年から、名称をLVTP(Landing Vehicle Tracked Personnel)からAAV(Assault Amphibian Vehicle)に変更した。

LAV-25 【M113→LAV25】
アメリカ海兵隊が使用する多目的装甲車である。 アメリカ陸軍と共同で始めた緊急派遣部隊向けのLAV(Light Armoured Vehicle=軽装甲車両)導入計画により導入したもので、候補の中からカナダ陸軍が採用したスイスのピラーニャ装甲車が選ばれた。1982年に海兵隊に採用され、各種のバリエーションが合計758両製造された。

M901ITV 【M113→LAV25→M901ITV】
M113をベースに、連装型のTOW対戦車ミサイル発射機を搭載した車両である。1978年に制式化され、3500両以上が生産された。この車両が搭載するTOWミサイルの発射機はアメリカ製の装甲車両の標準搭載型として、国内外を問わず幅広く普及している。

LAV-AD 【M113→LAV25→M901ITV→LAV-AD】
アメリカ海兵隊が装備するLAV装甲車に対空火器を搭載した車両である。25mmガトリング砲とスティンガー対空ミサイルの4連装ランチャーを2基砲塔に装備している。レーダーは装備していないが、赤外線監視装置やレーザー測距儀などを装備しており、全天候での戦闘が可能である。

LAV-AT 【M113→LAV25→M901ITV→LAV-AT】
ピラーニャ・シリーズの装甲車をアメリカ海兵隊が採用した8輪装甲車LAV-25の派生型である。M901ITVと同型の連装型のTOW対戦車ミサイル発射機を兵員室上に搭載し、車内にミサイル16発を載せる。

ストライカーMGS 【M113→LAV25→ストライカーMGS】
アメリカ陸軍の装輪装甲車ストライカーに105mm砲を搭載した車両である。アメリカが軽戦車用に開発を続けてきた頭上砲塔を搭載し、歩兵支援や対戦車任務に使用される。MGSはMobile Gun System 機動砲システムの略である。開発は難航したが、2006年から配備が開始された。

US国歩兵 【M113→US国歩兵】
標準的な装備の歩兵部隊である。物価などを反映しているのか調達コストが極めて高い。

US国戦闘工兵 【M113→US国歩兵→US国戦闘工兵】
敵前で障害の排除や陣地の構築などを行う部隊が戦闘工兵である。堅固な障害物を排除するために一般の歩兵と比べ重武装となっている。
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